消えた天才という番組がある。
プロでもトップクラスの選手が、当時かなわなかった天才は今何をしているのか、を放送している番組である。


そこに登場した人物が、岸である。岸は、明徳義塾で甲子園に四回出場したが、拓殖大学三年時に肩や肘の度重なる怪我により大学を中退し、一時は野球を辞めるも現在は独立リーグで野球をしている野球センスの塊のような選手である。


彼がプロに行かなかった理由は、同世代にプロに行った楽天の安楽や巨人の岡本を見て、自分は敵わないと思ってしまい自信を失ったことにあったようだ。
そして、大学時代にオーバーワークから故障してしまい、一回野球も大学も辞めていた。


好きな野球で生きていくことを考えたときに、すばぬけた特筆すべきものがない選手は、高校・大学で野球を辞める。
しかし岸は、走塁という分野で野球で飯を食うために現在独立リーグで奮起しているようだ。
しかも器用な岸は、独立リーグで盗塁王を獲得していた。


野球センスの塊で器用な岸が、盗塁や走塁でプロを目指す選択は間違えていないと思う。
センスや勘と言うのは、この走塁という分野では非常に有利に働く。まして岸は賢い選手であり、投手のクセや配球のパターンを読んで盗塁や走塁に活かしているのであろうと思う。


一度諦めた野球の道で復活して、新しい岸をプロの舞台で見てみたいし、なんといっても生き方としてなるべく競合が少ない分野で特筆しようと努力することは、選択肢として合理的であり、激しい競争が行われるプロの世界では、競合は少ない方が確実に有利である。


野球を辞めてグランドの外から野球を見てみると、今まで見てなかった角度から野球を見ることができる。選手として夢中でやっている時よりも俯瞰で見ることができるので、冷静に自分の能力をどこで活かせるか考える時間も戦略も練ることができる。


岸は高校最後の打席で狙ってホームランを打てるほど勝負強い選手であり、見ている観客が岸ならなんとかしてくれるのではないかと期待してしまう選手である。
これから数年後が非常に楽しみでありぜひプロの舞台で見てみたい。